受験

「文転」という選択肢

こんにちは。塾長です。

文転・理転という言葉があります。

受験において、理系選択の人が文系受験にすることを「文転」と言います。

文系選択の人が理系受験にすることを「理転」と言います。

文系理系を変更する高校生は必ずいます。

ですが、大半は理転ではなく、文転です。

当塾でも、昨年度は3人が受験学年での文転を決行しました。

それでは、文転のメリットデメリットについて、そして、どのタイミングで文転を決意するべきか?

について考えてみたいと思います。

そもそも、文転する理由は何なのでしょうか?

文転する理由には、ポジティブな理由とネガティブな理由があるかなと思います。

ポジティブな理由とは、

「進学したい学部が文系の学部であるから文転する」という理由。

ネガティブな理由とは、

「文系科目の方が簡単そうだから文転する」という理由。

こういう感じだと思います。

多くの高校生は高校1年生の後半で、「文系か理系か?」という選択を迫られます。

この時点で、高校卒業後の進みたい方向性が決まっているなら、その方向性を軸に文理選択をすれば良いと思います。

しかし、文理選択の時点で決まっていなかった高校生は、教科の得意不得意や好き嫌いなどで文理の選択をしてしまうのではないでしょうか?

高校1年生の時点で何となく理系を選択したものの、高校2年生になってから文系学部に進学したいという意思が固まったのであれば、文転することをお勧めします。これは、高校側にも相談した方が良いですね。選択するカリキュラムの問題がありますので(高校は実は単位制のため)。

しかし、何となく理系を選択したものの、文系の友達の勉強が簡単そうに見えるから、文系に変更してそれなりの大学に進学しようかなと思っている高校生には、文転をお勧めしません。

確かに理転よりは文転の方がしやすいとは言われていますし、高校の先生からも「理転は難しいけど文転ならできるから」と言われているケースも多いと思います。

しかし、文転も簡単なものではありません。

文転するにせよ、しっかりした理由がない高校生は、まずは自分自身の進路について考えてみましょう。

このまま理系学部に進学したほうが良いのかどうか?

それとも、文系学部に興味のある学問があるのかどうか?

文転するしっかりした理由がないけど、文転をしようとしている人は、

おそらく、進路について調べ切れていないのだと思います。

文転を決意する前に、文転したらどのような進路があるのか、文転しなかったらどのような進路があるのかを調べてみましょう。

では、文転するメリットとは何なのでしょうか?

これは、圧倒的に学習量が減る事が大きいです。

理系学部(工学部や理学部など)の受験であれば基本的に、数学Ⅲ、物理、化学が受験の最後まで必要です。

しかし、この3教科における「勉強の重さ」は半端ないです。

文系になれば、この3教科を使う場面はあまりありませんので、その分を他教科の勉強に充てることができます。

これは、想像以上に大きいと感じます。

文転しようと考えるとき、数Ⅲの難易度についていけていない場合が考えられます。

数ⅡBまでは何とかできるけど、数Ⅲはちょっと…という人は、文系受験を考えても良いかと思います。

もしくは、物理や化学がどうしてもしんどいとか。これも十分に考えられますよね。

理系から文転した場合、文系学部の受験科目の選択肢は広がります。

文系学部(経済学部や経営学部、商学部など)の一般受験では、

「英語」「国語」が必須で、「歴史」「地理」「政治経済」「数学ⅠAⅡB」から1科目選択して受験をします。

これは、国公立大も私立大も共通している点です。

つまり、数学を使えるということです。

こうなると、数ⅠA・ⅡBなら点数は取れるという人であれば、

社会の勉強をそこまでしなくても、数学ⅠAⅡBの勉強で文系大学の受験をすることができます。

もし、文転を考えているけど、数ⅠA・ⅡBが得意ではないという高校生は、

社会は「政治経済」を選択することをお勧めします。ただ、これは私立大受験の場合ですね。

政治経済は他の社会科目に比べると範囲が狭く、一番日常生活に近い科目なので、理解がしやすいと言えます。

ただし、社会の選択が政治経済であったとしても、私立大の合格レベルまで達するまでには約1年の期間は必要です。

ですので、遅くとも高3の春には、政治経済にするのかどうかの決断をする必要がありますね。ちょうど今の時期ですね。

では、文転することのデメリットは何でしょうか?

文転することのデメリットは、文系は英語と国語ができないと話にならないということです。

文理選択の時に、英語や国語が苦手だから理系を選んだ人もいると思います。

理系であれば、この2教科が苦手でも、国公立大の二次試験では使わない可能性が高いです。

ですので、理系ならば、まだ、ごまかしが効く場合もあります。私立大は理系でも英語がある場合が多いですが。

しかし、文系なら、国公立大の二次試験は英語と国語になっているのがスタンダードです。

私立大でも、英国社がスタンダードですよね。この社会を数学に差し替える事はできますが、

英語と国語は差し替え不可の場合がほとんどです。

ですので、この英語と国語という2教科にきちんと取り組む必要があるのです。

この覚悟をきちんと持てるかどうかが大切だと思います。

 

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