こんな経験をしたことはないだろうか?
授業中に「なるほど!」と思った内容なのに、テストのときには思い出せなかった。あるいは、ノートを何度も読んだのに、なぜか点数が伸びない。そんなとき、「もっと長く勉強すればよかったのかな」とか「自分は記憶力が悪いのかも」と感じてしまったりするだろう。
心配しなくても大丈夫だ。それは、努力が足りなかったわけでも、頭が悪いわけでもない。ただ、「思い出す練習」が足りなかっただけなんだ。
実は、学力を伸ばす上でとても大切なのは、「どれだけ勉強したか」よりも、「どう勉強したか」なんだ。これ、ポイントね。そして、数ある勉強法の中でも、もっとも効果があるといわれているのが、この「思い出す」練習だということなんだ。これには完全同意だ。
「思い出す」って、どういうこと?
「思い出す」とは、自分の頭の中だけを使って、すでに学んだことを取り出そうとすることだ。たとえば、教科書を閉じて「昨日覚えた英単語、何があったっけ?」と自分で考える。それが「思い出す」行為なんだ。
この「思い出す」ことが、記憶をぐっと強くする。脳が「これは大事な情報だ」と判断して、長く覚えてくれるようになる。逆に、ただノートを何度も読むだけでは、「ふーん」と流れてしまい、なかなか頭に残らない。
なぜ「思い出す」ことが効果的なのか?
アメリカの大学で行われた実験がある。あるグループの学生には「何度も教科書を読む」勉強をさせ、別のグループには「読んだ内容を思い出す」練習をさせたというものだ。その結果は、「思い出す」練習をしたグループの方が、テストの成績がずっと良かったのだ。
これは、スポーツと同じだと思う。バスケットボールのルールを何度も読んだだけでは上手にはならない。実際にシュートを打って、ミスして、また打って、という練習を通して、体が覚えていくんだ。勉強も同じで、「思い出そうとする」ことで、記憶がどんどん定着してということなんだ。
じゃあ、どんな「思い出す練習」をすればいいの?
具体的には、次のような方法がある。
① 自分でテストを作ってみる
教科書を読んだあと、「この内容から問題を出すとしたら?」と考えて、自分で小テストを作ってみる。そして、数時間後や次の日に、その問題に答えてみることをするんだ。
② ノートを閉じて、要点を言葉にする
たとえば歴史の授業で「鎌倉幕府ができた理由は?」と自分に問いかけて、ノートを見ずに説明してみる。最初はうまく言えなくても大丈夫。むしろ「うまく言えなかったところ」が、覚え直すべきポイントということなんだ。
③ 友達や家族に説明してみる
誰かに説明しようとすると、自分が本当に理解しているかどうかがよく分かる。「分かったつもり」になっていた部分に気づけることも多々あるだろう。
忘れることは、悪いことじゃない
人間は、どんなに努力しても、時間がたてば忘れてしまう生き物なんだ。忘れることを怖がる必要はない。むしろ、「忘れかけたときに、もう一度思い出す」という行動こそが、記憶を強くする最大のチャンスなんだ。
たとえば、漢字を10個覚えても、次の日に5個しか思い出せなかったとしよう。そのとき、「ダメだ…」と落ち込むのではなく、「よし、残りの5個をもう一回思い出してみよう」と考えるんだ。そうやって繰り返すうちに、10個すべてが確実に自分のものになる。これの繰り返しだ。
毎日の勉強に「思い出す」を取り入れよう
長時間ダラダラと教科書を読むよりも、短時間でもいいから、思い出す練習をすることが学力アップの近道となる。ポイントは、「自分の頭だけを使って情報を引き出すこと」。学校の授業の復習や、家庭学習の中でも、ぜひ取り入れてみてほしい。
最後にひとつだけ、覚えておいてほしい言葉がある。
「学ぶことは、思い出すことだ。」
この言葉を意識して、今日からの勉強をちょっとだけ変えてみよう。きっと、今までよりもぐんと記憶に残り、テストでの手応えも変わってくるはずだ。