地方在住の高校生が私立大学を志願する場合、ネックになるのは学費だろう。
文系でも国立大の2倍、理系なら国立大の3倍になってしまうからだ。
ただ、地方在住の高校生にしか適用されない
「入学前予約型給付奨学金」制度
を設置している私立大学があることを知っているだろうか?
しかも、この奨学金は給付型なのだ。
そうだ。
返済不要の奨学金なのである。
この制度は、受験前に奨学金の申請と選考が行われ、採用候補者に内定が出されることで、
入学後の経済的負担を軽減し、安心して学業に専念できる環境を提供することを目的として
いる。以下では、具体的な大学をいくつか紹介してみよう。
1. 早稲田大学「めざせ!都の西北奨学金」
この奨学金は、首都圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)以外の国内高等学校出身者で、学業成績が優秀であるにもかかわらず家計の事情で進学を断念せざるを得ない受験生を対象としている。2024年度一般選抜・大学入学共通テスト利用入試、総合型選抜、学校推薦型選抜(指定校推薦入試を含む)、系属校推薦入試(摂陵・佐賀)の受験生が対象だ。給付金額は入学学部に応じて毎年45・65・70万円で、4年間継続される。採用候補者数は約1,200人だ。
2. 慶應義塾大学「学問のすゝめ奨学金」
慶應義塾大学では、学業成績が優秀な受験生を対象に「学問のすゝめ奨学金」を設けている。対象は一般選抜利用者で、地域条件として一都三県以外の出身者が対象だ。給付金額は年額60万円(医学部は年額90万円、薬学部は年額80万円)で、最長4年間(医学部・薬学部薬学科は最長6年)継続される。採用候補者数は550名以上だ。
3. 明治大学「おゝ明治奨学金」
明治大学の「おゝ明治奨学金」は、学業優秀でありながらも経済的に困窮している受験生を対象にした奨学金だ。一般選抜出願前に申請し、選考の上、採用候補者として決定される。給付額は学費のうち授業料年額1/2相当額で、4年間継続され、採用候補者数は1,000名以内である。
4. 青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」
青山学院大学では、「地の塩、世の光奨学金」を設けている。対象は一都三県以外の出身者で、一般入学試験または大学入学共通テスト利用入学試験を受験する人だ。給付金額は年額50万円で、原則4年間継続される。採用候補者数は約350名となっている。
5. 上智大学「上智大学新入生奨学金」
上智大学の「上智大学新入生奨学金」は、上智大学への入学を第一志望としながらも、経済的理由により入学が困難で、かつ高校の成績が優秀な者を対象としている。減免額は初年度の授業料相当額、授業料半額相当額、授業料3分の1相当額のいずれかで、学業成績と家計の経済状況の総合評価で決定される。
6. 学習院女子大学「やわらぎ奨学金」
学習院女子大学では、一般選抜(A・B方式)で本学に入学を希望する者を対象にした、予約型の給付奨学金「やわらぎ奨学金」を設けている。給付金額は100万円で、入学年度に限り給付される。採用候補者数は20名だ。
7. 法政大学「チャレンジ法政奨学金」
法政大学の「チャレンジ法政奨学金」は、学業成績が優秀(評定平均値3.8以上)で、一都三県以外の出身者を対象としている。給付金額は文系学部で入学時年額38万円、2年次以降は年額20万円、理工系学部で入学時年額43万円、2年次以降は年額25万円。4年間継続され、採用候補者数は200名だ。
8. 立教大学「自由の学府奨学金」
立教大学では、「自由の学府奨学金」を設けている。対象は評定平均値3.5以上で、一都三県以外の出身者だ。給付金額は年額50万円(理学部は年額70万円)で、原則4年間継続される。採用候補者数は400名だ。
9. 明治学院大学「白金の丘奨学金」
明治学院大学の「白金の丘奨学金」は、評定平均値3.6以上で、一都三県以外の出身者を対象としている。給付金額は年額40万円で、4年間継続される。採用候補者数は約200名だ。
10. 専修大学「進学サポート奨学生」
専修大学では、「進学サポート奨学生」を設けている。対象は評定平均値3.5以上で、一都三県以外の出身者だ。給付金額は授業料の半額相当額で、原則4年間継続される。採用候補者数は第1回が120名、第2回が80名である。
ざっと、代表的な奨学金を挙げてみた。
これらの奨学金制度は、学業成績や家計状況、居住地域などの条件を満たすことで
申請が可能だ。申請期間や必要書類、選考方法などは大学によって異なるため、
各大学の公式ウェブサイトや募集要項を確認することがとても重要である。
入学前に奨学金の内定を得ることで、進学に対する不安を軽減し、
安心して学業に専念できる環境を整えることができるだろう。
では、最後に具体例として、昨年度の法政大学の要項を詳しく見てみよう。
誰でも大学のホームページから確認することができる情報で、希少性は低い。
しかし、意外と知らない人が多いのが現状である。
こんな良い制度があるのだから、要件に該当するのであれば、迷わず出願すべきだろう。
チャレンジ法政奨学金の概要(2025年度)
対象者:2025年度一般選抜(T日程入試、英語外部試験利用入試、A方式入試、大学入学共通テスト利用入試 B方式・C方式)を受験する者で、以下の条件を満たす者。日本国籍を有する者、または永住者、定住者、日本人(永住者)の配偶者・子。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県以外の高等学校または中等教育学校の出身者(通信制を除く)。2025年3月卒業見込みの者または2024年3月以降卒業した者。学習成績の状況(評定平均値)が「3.8以上」である者。
父母の2023年の合計収入が600万円以下であること(自営業等の場合は所得金額が197万円以下)。
法政大学に入学を強く希望する者
給付金額:文系学部:入学時年額38万円(2年次以降は年額20万円)理工系学部:入学時年額43万円(2年次以降は年額25万円)
給付期間:入学後1年間。継続審査を通れば、最長4年間受給可能。
採用候補者数:200名
申請期間:2024年11月1日(金)~11月30日(土)※最終日消印有効
申請方法:必要書類を揃えて、レターパックライトや簡易書留など配達記録が残る方法で郵送。
選考結果通知:2024年12月下旬に発送予定。