子育て

【この論争には、今日、ここで結論を出そうシリーズ】第八回は「YouTube論争」。

「この論争には、今日、ここで結論を出そうシリーズ」も、第八回。今日は「YouTube論争」だ。

多くの家庭で繰り広げられているであろう光景について考えてみたい。

「YouTube見てないで、勉強しなさい!」

「これは教育系だから!勉強になるから!」

こんなやりとりをした覚えはないだろうか?

近年、「教育系YouTube」「勉強系YouTuber」が増えた。

そして、子どもたちはこう言うんだ。

「これは勉強だから」

 「授業の復習だから」

「参考書より分かりやすいから」

保護者の方も悩むだろう。

「確かに勉強系の内容だし・・・。」

 「頭ごなしに禁止するのも・・・。」

 「時代に合わせないと・・・。」

でも、僕が長年の経験から導き出した結論は、明確だ。

「教育系YouTubeも、結局はYouTube。依存性があり、時間を奪い、学力向上にはほとんど寄与しない」

これだ。

今日は、なぜそう断言できるのか、詳しく話してみたい。

「教育系YouTube」の巧妙な罠

まず、教育系YouTubeの実態を理解しよう。

YouTubeの目的は「滞在時間を延ばすこと」

YouTubeは、Googleのビジネスモデルによるプラットフォームだ。

だからこそ、その目的は明確だ。

できるだけ長く、できるだけ頻繁に、ユーザーをYouTubeに滞在させること

なぜなら、滞在時間が長いほど、広告収入が増えるからだ。

そのために、YouTubeは

おすすめ動画のアルゴリズム(次々と見たくなる動画を提案)

自動再生機能(終わったら次の動画が勝手に始まる)

「あと◯秒で次の動画」表示(やめるタイミングを逃させる)

これらの仕組みで、ユーザーを引き留める。

教育系YouTubeも、この仕組みの中にある。

「5分で分かる◯◯」の危険性

教育系YouTubeによくあるタイトル

「5分で分かる二次関数」

「10分で覚える歴史」

「中学英語を15分で総復習」

一見、効率的に見える。しかし、これには大きな問題があると感じる。

本当に5分で理解できるのか?

二次関数を5分で理解できるなら、学校の先生は授業で何をしているのだろうか?

実際には、5分の動画で「なんとなく分かった気になる」だけだと思う。

本質的な理解には至らない。

・「分かった気」が最も危険

本当に怖いのは、動画を見て「分かった!」と思い込むこと。

分かったと思っても、実際に問題を解こうとすると、できない。

なぜなら、見ただけでは身につかないからだ。

数学は、自分で手を動かして解く。

英語は、自分で文章を読み、書く。

理科は、自分で考え、理解する。

この過程を経ないと、学力は伸びないんだ。

・次々と関連動画が出てくる

「二次関数」の動画を見終わると、おすすめに:

「因数分解の裏技」

「平方完成が5分で分かる」

「面白い数学の話」

気づけば1時間😂

勉強したつもりで、実は何も身についていないのが現実だろう😭

子どもたちの「言い訳」パターン

パターン1:「勉強系だから大丈夫」

子ども:「これ、勉強のYouTubeだから!」

現実:

開始5分:確かに勉強系の動画

10分後:「面白い雑学」系の動画

30分後:完全にエンタメ系

1時間後:ゲーム実況

最初は勉強系でも、アルゴリズムに誘導され、気づけば全く関係ない動画を見ているだろう。

パターン2:「学校の授業より分かりやすい」

子ども:「学校の先生の説明より、YouTubeの方が分かりやすいんだって」

現実::そう感じるのは、YouTubeの動画が:

編集されていて、無駄がない

図やアニメーションが豊富

エンタメ要素が強い

つまり、楽しいから分かりやすく感じるだけだ。

しかし、「楽しい」と「身につく」は別なんだ。

学校の授業は退屈かもしれないが、深い理解を促す工夫がされているものだ。

パターン3:「英語のリスニング練習してる」

子ども:「英語のYouTube見てるから、リスニングの勉強になる」

現実:

字幕付きで見ている(字幕を読んでいるだけ)

内容は理解していない(雰囲気で楽しんでいるだけ)

学校の教材より遥かに難しい(実質的に勉強になっていない)

本当にリスニング力をつけたいなら、教科書の音源(今はQRコードで読み取る)を繰り返し聞く方が、はるかに効果的だと思う。

教育系も含め、YouTubeは制限すべき

ここまでの議論を踏まえて、明確に述べたい。

「教育系YouTubeであっても、基本的に制限すべき。『教育系だから』という言い訳を認めてはいけない。」

推奨するルール

【平日】

YouTube(教育系含む)は禁止

例外:学校の課題で指定された動画のみ

【週末】

1日1時間まで

ただし、宿題と勉強が完全に終わってから

教育系も娯楽系も、同じ1時間の枠内

【視聴時の約束】

リビングで見る(個室で見ない)

時間が来たら必ず止める

親が「これは本当に勉強になるか?」を判断する

なぜこれほど厳しくするのか

理由は3つある。

1.「教育系」の境界線が曖昧

どこまでが教育系で、どこからが娯楽系か、判断できない(本当にこれ)。

「歴史の雑学」は教育系?「面白い数学の話」は?「科学実験」は?

曖昧なルールは、必ず拡大解釈される。だからこそ、明確に線を引く必要があるんだ。

2.依存性は教育系も同じ

教育系YouTubeも、娯楽系YouTubeも、同じプラットフォームで、依存性も同じだ。

「次の動画、次の動画」と止まらなくなる仕組みは、内容が教育系でも変わらない。

3.本当の勉強は「地味」

YouTubeの動画は、楽しく、刺激的だ。その一方で、本当の勉強は地味なんだ。

教科書を読む

問題を解く

間違いを確認する

もう一度解く

この地味な繰り返しが、学力を作る。

YouTubeに慣れた脳は、この地味な勉強に耐えられなくなってしまう。

「でも、本当に役立つ動画もあるのでは?」への答え

ここで反論があるだろう。

「役立つ教育系YouTubeもあるのでは?全部禁止するのは極端なのではないか?」

確かに、良質な教育動画は存在する

これは事実。

大学教授が解説する専門的な内容

NHKなどの教育番組のYouTube版

学校の先生が作った復習動画

これらは、確かに教育的価値があるだろう。

しかし、小中学生には「まだ早い」

問題は、小中学生に自己管理能力がないことだ。

「良質な教育動画だけを見る」という自制心は、ほとんどの小中学生には無い。

最初は良質な動画を見ていても、気づけば娯楽系に流れる。

これが現実だ。

高校生・大学生になってから使えばいい

本当に教育系YouTubeを活用できるのは、自己管理能力がついてからだ。

高校3年生や大学生になれば、「この動画は本当に必要」「これは無駄」という判断ができる。

その時に、初めて教育系YouTubeは有効なツールになるのだと思う。

YouTubeの代わりに何をすべきか

「YouTubeを制限したら、子どもは何をすればいいの?」

当然の疑問です。代替案を提示します。

1. 読書

YouTube 1時間を、読書30分に置き換えるだけで、人生が変わる。

読書は:

集中力を育てる

語彙力を増やす

想像力を刺激する

深い思考を促す

YouTubeでは得られない、多くのものを与えてくれます。

2. 問題集・参考書

「YouTubeで勉強」より、「問題集で勉強」の方が、圧倒的に効果的だ。

なぜなら、

自分で手を動かす

理解度を確認できる

繰り返し練習できる

動画を見るのは受動的。問題を解くのは能動的。

この差は、決定的だ。

3. 学校の教科書を読み直す

実は、学校の教科書は非常によくできている。

「分かりにくい」と感じるのは、じっくり読んでいないからだ。

YouTubeで5分の動画を見るより、教科書を15分かけて読み込む方が、はるかに力がつくだろう。

4. 塾や学校の先生に質問する

「YouTubeで調べる」より、「先生に質問する」方が、確実に理解できる。

自分の理解度に合わせて説明してくれる

分からないところを深堀りできる

質問する力が育つ

これは、YouTubeでは絶対にできないことだ。

5. 外で遊ぶ・運動する

小中学生には、身体を動かす時間も必要だ。

YouTube 1時間を

公園で友達と遊ぶ

自転車で出かける

家の周りをランニングする

こうした活動に置き換えることは、十分な価値がある。

テレビはどうするのか?

ここで、「YouTubeはダメで、テレビは良いの?」という疑問も出るだろう。

テレビも基本的には制限すべき

結論から言えば、テレビも制限すべきだ。

【平日】

夕食時のニュース程度はOK

それ以外は基本的に消す

【週末】

見たい番組を決めて見る(ダラダラ見ない)

1日2時間まで

テレビとYouTubeの違い

ただし、テレビの方がYouTubeより「まし」な理由もある。

終わりがある

テレビは番組が終われば終わり。YouTubeは永遠に続く。

能動的に選ぶ必要がある

テレビは番組表を見て選ぶ。YouTubeはアルゴリズムが勝手に提案する。

家族で見られる

テレビはリビングで家族と見る。YouTubeは個室で一人で見がちだ。

しかし、どちらも「時間を奪うもの」

テレビもYouTubeも、貴重な時間を奪うものだ。

小中学生の時間は有限だ。その時間を奪いたくない。

読書に使うか

勉強に使うか

友達と遊ぶことに使うか

テレビ・YouTubeに使うか

どれが子どもの成長に繋がるかは、明らかだ。

どう制限するのか

それでは、実際にどうやってYouTubeを制限するか、具体的な方法をお伝えします。

ステップ1:ルールを明確に決める

まず、家族で話し合い、ルールを決める。

【例】

平日はYouTube禁止

週末は1日1時間まで

リビングで見る

時間が来たら必ず止める

このルールを、紙に書いて貼っておくのも効果的だ。

ステップ2:物理的に制限する

「ダメ」と言うだけでは、守るわけがない。物理的な制限が必要だ。

【スマホを持たせていない場合】

持たせない状態を続ける

タブレットは親が管理

【スマホを持たせている場合】

スクリーンタイム機能でYouTubeを制限

平日はアプリを使えなくする

Wi-Fiのアクセス制限

【パソコンがある場合】

YouTubeをブロックするソフトを入れる

使用時間を制限する

ステップ3:代替活動を用意する

制限するだけでは不十分。代わりに何をするかを提案しよう。

図書館に一緒に行き、本を借りる

ボードゲームやカードゲームを用意する

外で遊ぶ時間を作る

塾の自習室を活用する

ステップ4:親も模範を示す

子どもに「YouTube見るな」と言いながら、親がスマホでYouTubeを見ている。

これでは説得力がない。

子どもの前では、

スマホを極力見ない

テレビもダラダラ見ない

読書や仕事など、有意義な時間を過ごす

親の姿勢が、子どもに最も影響するからだ。

ステップ5:一貫性を保つ

最も重要なのは、一貫性だ。

「今日は特別に」「頑張ったから」と例外を作ると、ルールは崩壊する。

決めたルールは、何があっても守る。

この一貫性が、子どもに「本気度」を伝える。

終わりに 。 「教育系」という言い訳に騙されない。

「教育系YouTubeだから大丈夫」

この言葉に、どれだけ多くの親が騙されてきたことだろうか。

教育系でも、YouTubeはYouTube。

依存性があり、時間を奪い、本当の学力には繋がらない。

厳しく聞こえるかもしれないが、子どもの未来を本気で考えるなら、ここは譲れないところだ。

小・中学生の貴重な時間を

YouTubeに奪わせるのか

読書、勉強、遊び、成長に使わせるのか

選択は、親の手の中にある。

「教育系だから」という言い訳に、騙されないで欲しい。

子どもは、目の前の楽しさに夢中となる。

5年後、10年後を見据えて判断できるのは、親だけだ。

厳しいルールを作ることは、子どもに嫌われるかもしれない。

しかし、それが子どもの未来を守ることに繋がるなら、勇気を持って実行すべきだと思う。

今が、決断する時だ。

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