「この論争には、今日、ここで結論を出そうシリーズ」も、今日で第六回だ。
第六回は、「塾はいつから通わせるべきか論争」だ。
「塾はいつから通わせるべきか?」これは、多くの保護者が悩む問題だと思う。
「早ければ早いほど良い?」
「小学生から?中学生から?」
「本人がやる気になるまで待つべき?」
今日は、この問いに対して、岩手県の公立高校入試制度を踏まえた上で、明確な答えを伝えたい。
僕が10年以上、岩手県の生徒を指導してきた経験から導き出した結論は、
「女子は小6後半から、男子は中2の春から。これが岩手県における最適なタイミングである。」
これだ。
なぜ性別で違うのか。
なぜこのタイミングなのか。
説明していこう。
まずは、岩手県の公立高校入試制度を把握しよう
塾のタイミングを考える前に、まず岩手県の公立高校入試制度を理解する必要がある。
公立高校入試は、合計1000点満点
岩手県の公立高校入試は:
入試本番の得点(500点満点)
内申点(500点満点)
合計1000点満点
で合否が決まる。
高校によって比重が違う
ただし、入試本番と内申点の比重は、高校によって異なる。
盛岡三高:本番7:内申3
盛岡四高: 本番6:内申4
盛岡北高: 本番5:内申5
つまり、盛岡三高は入試本番重視、盛岡北高は内申点重視、ということだ。
内申点の計算方法(ここが重要!)
内申点は、中学3年間の成績から計算される。しかし、学年ごとに重みが違う。
【主要5教科(国・数・英・理・社)】
中1: 評定×2
中2: 評定×4
中3: 評定×6
【技能系4教科(音楽・美術・保体・技家)】
中1: 評定×3
中2: 評定×6
中3: 評定×9
【各学年の満点】
中1: 5教科(50点) + 4教科(60点) = 110点
中2: 5教科(100点) + 4教科(120点) = 220点
中3: 5教科(150点) + 4教科(180点) = 330点
合計660点満点 → 500点満点に圧縮
この制度から分かる3つの重要ポイント
・中1から内申点が入る
「中3から頑張ればいい」は通用しない。中1の成績(110点)も、しっかり内申に影響するからだ。
・中3が最重要
中3の内申点は330点で、全体の50%を占める。中3での頑張りが、最も大きく影響するんだ。
・技能系教科が重い
特に中3では、技能系は×9。音楽や美術を軽視すると、大きく損をする。特に男子は技能系を舐めてしまうから、注意が必要だ。
なぜ「女子は小6後半」なのか
理由1:女子には準備する時間が必要
先ほど見たように、中1の内申点は110点あります。これは全体の約17%に相当する。
中1の1学期から、気を抜けない。
「女の子は、急激な変化を嫌う」と言われる。
アドリブを嫌い、事前準備をしたがる傾向が強い。
だから、抜き打ちテストを極端に嫌がる子が多い。
なので、「中学入学してから考えよう」では、すでに遅いと言えるだろう。
このことから、小6の後半(秋〜冬)から準備を始めるのがベストなんだ。
理由2:女子の精神的成熟は早い
これは教育現場にいる者なら誰もが実感していることだが、女子の精神的な成熟は、男子より2年ほど早い。
10年早いとも言われる笑。
そのため、小6の女子は、すでに「勉強しなきゃ」という意識を持つことができる。
塾の先生の話を素直に聞き、宿題もきちんとやる傾向が強い。
この時期に学習習慣を作っておけば、中学入学後、スムーズに勉強に取り組むことができる。
理由3:中学内容の先取りができる
小6の後半から通い始めれば、中学入学までに3〜4ヶ月ある。
この期間で
中1の数学の先取り(正負の数、文字式など)
中1の英語の先取り(be動詞、一般動詞など)
中学での学習方法の習得
これらができる。
中学入学時に、すでに「予習済み」の状態で授業を受けられる。
これは、大きなアドバンテージだ。
理由4:内申110点を確実に取る
中1の内申110点を取りこぼさないためには、最初が肝心だ。
中1の1学期で好成績を取る → 自信がつく → 勉強が楽しくなる → さらに成績が上がる。
この好循環を作るには、中学入学前の準備が不可欠だと思う。
なぜ「男子は中2の春」なのか
「え、男子は遅くないの?」と思われるかもしれない。
しかし、これには明確な理由がある。
理由1:男子の精神的成熟は遅い
小6や中1の男子は、正直なところ、まだ遊びたい盛りだ。
塾に通わせても
授業中にボーッとしている
宿題をやってこない
「やる意味が分からない」と反発する
こうなることが多いんだ。
無理に早く始めても、効果は薄い。
それどころか、「勉強=嫌なもの」というイメージを植え付けてしまうリスクさえある。
そう。男子は厄介なんだ。
理由2:中2で精神的に変わる
しかし、中1の終わりから中2の春になると、男子は劇的に変わる。
部活動を1年経験し、先輩から後輩へと立場が変わり、
「自分も頑張らなきゃ」という意識が芽生えてくる。
そうだ。責任感が男子を変えていくんだ。
この時期に塾に通い始めると、本気モードで取り組める可能性が高い。
理由3:中2・中3で挽回できる
ここが重要なポイントだ。
内申点の配分を思い出してほしい。
中1: 110点
中2: 220点
中3: 330点
中2・中3の合計は550点。全体の83%だ。
つまり、中1で少し出遅れても、中2・中3で十分挽回できる。
特に、盛岡三高(本番7:内申3)を目指す場合、
内申点の重要度は相対的に低くなる。
中2から本気で取り組み、中3でしっかり成績を上げ、入試本番で得点できれば、十分に合格できる。
理由4:中1は「基礎固め期間」と割り切ることができる
では、中1男子は何もしなくて良いのか?もちろん、 そんな訳はない。
中1は
学校の授業をしっかり聞く
定期テスト前はきちんと勉強する
部活と勉強の両立の感覚を掴む
読書習慣を続ける
これらで十分だ。
塾に通わなくても、家庭学習で対応できる範囲だからだ。
そして中2から、本格的に塾で学習を開始する。
これが、男子にとっての最適ルートだと言えるだろう。
では、小学生の間は何をすべきか
「女子は小6後半から、男子は中2から」と言ったが、
それまでの期間は何もしなくて良いのだろうか?
もちろん、そうではない。
小学生時代の過ごし方
・◯文教室や◯研教室を活用する
地域には、計算力や基礎学力を鍛える教室がたくさんある。
こうした教室で、小学生のうちに、
計算力(四則演算を完璧に)
漢字・語彙
基本的な学習習慣
を身につけておくことは、非常に有効だと思う。この2教室のメソッドは非常に優れているからだ。
・読書習慣を作る
これが最も重要だ。
週に1回図書館に行き、好きな本を借りる。
毎日30分、読書の時間を作る。
もちろん、マンガでも良いんだ。
この習慣が、すべての学力の土台を作る。
特に、国語の読解力、語彙力は、読書なしには育たない。
・遊びも大切に
小学生には、遊びも必要だ。
友達と外で遊ぶ、
家族で出かける、
好きなことに没頭する。
こうした経験が、子どもの心と身体を育てる。
・そろばん・書道もおすすめ
計算力を鍛えるなら、そろばん。集中力と美しい字を身につけるなら、書道。
これらの習い事は、小学生にぴったりだ。
級も取れるし、一生モノの力が身に付く。
中学(女子は小6後半)からが本格スタート
女子は小6後半から、男子は中2から、本格的な学習塾に通う。
この段階からは、高校受験以降までを見据えた本格的な指導が必要だ。
5教科をバランスよく学ぶ
定期テスト対策
実力テストでの得点力向上
県立上位校を目指した学習計画
こうした指導ができる塾を選ぶべきだと思う。
志望校別の戦略
最後に、志望校別に、どう考えるべきかを伝えよう。
盛岡三高志望(本番7:内申3)
女子:
小6後半から通い、中1から内申を確保
ただし、内申の比重は低いので、過度に神経質にならなくて良い
入試本番の得点力を重視
男子:
中2から通い始めても十分間に合う
入試本番重視なので、中2・中3でしっかり実力をつければOK
内申で少し差がついても、本番で挽回できる
盛岡四高志望(本番6:内申4)
女子:
小6後半から通い、中1から内申を確保することが重要
バランス型なので、内申も本番も両方大事
男子:
できれば中1後半には通い始めたい
内申4割は無視できない重さ
中2から本気で取り組めば、十分対応可能
盛岡北高志望(本番5:内申5)
女子:
小6後半から通い、中1から内申を確実に積み上げることが必須
内申点が合否を大きく左右する
技能系教科も手を抜けない
男子:
中1から通うか、中1は家庭学習+学校の定期テスト対策を徹底
中2からは確実に通うべき
内申重視なので、定期テストでコツコツ点を取る戦略
最後は、よくある質問に回答します!
Q1. 「中3からでも間に合いますか?」
・間に合います。ただし、相当の努力が必要です。
中3の内申点は330点(全体の50%)あります。中3で頑張れば、まだ挽回できます。
また、入試本番の500点(または比重に応じて)で高得点を取れば、逆転可能です。
諦めずに、今からできることを全力でやりましょう。
Q2. 「女子だけど、小6後半を過ぎてしまった」
・中1の1学期から通い始めれば、まだ十分です。
中学内容の先取りはできませんが、中1の最初から学習習慣を作れば、問題ありません。
大切なのは、「早く始めること」より、「始めてからしっかり取り組むこと」です。
Q3. 「男子だけど、中1から通わせたい」
・もちろん、それも一つの選択です。
ただし、本人がまだやる気モードでない場合、無理に通わせても効果は薄いかもしれません。
本人と話し合い、「やってみようかな」という気持ちがあるなら、中1から始めても良いでしょう。
Q4. 「部活が忙しくて、塾に通う時間がない」
・これは多くの中学生が直面する問題です。
しかし、県立上位校に進学した先輩たちも、みんな部活と両立していました。
週2〜3回、夜の時間を塾に充てる。そこから始めましょう。
「時間がない」ではなく、「どう時間を作るか」を考えましょう。
本日は、以上!!

