なぜ「基礎」がそんなに重要なのか?
勉強で何よりも大切なこと、それは「基礎の定着」だ。
この言葉を聞いて、「そんなの当たり前だよ」と思ったかもしれない。だが、多くの生徒はこの「基礎」という言葉を誤解しているような気がする。
「基礎=簡単なこと」ではない。
「基礎=時間がかかるけれど、最も重要で、すべての土台になるもの」なんだ。
◆ 応用問題ができないのは、才能の問題ではない
「応用問題が解けない」「長文が読めない」「公式が使いこなせない」──これらは、才能のせいではない。基礎があやふやだからなんだ。
- 英語の長文が読めない→ 文法・単語・構文の基礎が不十分だから。
- 数学の応用問題が難しい→因数分解や方程式、定義の理解があいまいだから。
◆ 基礎がないまま応用をやるのは「屋根のない家」を建てるようなもの
スポーツの世界でも、プロ選手ほど基本を大事にする。
基礎をないがしろにしていると、どんなテクニックもすぐに崩れるからだ。
勉強も同じだ。土台がしっかりしていないと、積み上げた知識は全部崩れてしまうんだ。
では、どうやって基礎を固めればいいのか?
1. 「なぜそうなるか」を理解する
基礎を「丸暗記」で済ませようとする人が多いが、これでは応用が利かない。
例えば「公式を使って解け」と言われても、「なぜこの式が成り立つのか」を理解していないと、別の問題に対応できないんだ。
「なぜそうなるか?」を常に自分に問いかけよう。
2. 音読・書き取り・図解などで、体を使って覚える
頭の中だけで処理しようとすると、記憶はすぐに曖昧になる。
英語なら音読、数学なら図やグラフを書いて覚える。「目と耳と手」を同時に使うことが定着の鍵だ。
3. 「反復」で知識を血肉化する
一度覚えただけで定着することはありえない。
1日、3日、1週間後に「必ず復習する」ことで、記憶が定着していくんだ。
「飽きるほど反復」しよう。
4. 「自分の言葉で説明できるか?」を確認
本当に理解しているかどうかは、人に説明できるかどうかで分かる。
自分で「なぜその答えになるのか」を言葉にできなければ、それはまだ基礎が固まっていないということだ。
各学年・各科目で「何を」「どうやって」基礎を固めるか?
以下、学年ごとに「基礎を固めるべき具体的な内容」とその方法を解説してみる。
【中学1年生】
英語:be動詞と一般動詞の違いを100%理解
- 「He is play soccer.」のような誤りを徹底修正
- 毎日5文を音読→文法を体で覚える
数学:正負の数・四則計算の感覚化
- 計算ドリルを繰り返す
- 分数・小数の操作も正確に
国語:主語・述語を意識して文章を読む
- 説明文で「何が」「どうした」を把握する練習
- 語彙ノートの作成(知らない言葉をためていく)
【中学2年生】
英語:動詞の変化(過去形・不定詞・動名詞)
- “I want to play” “I enjoyed playing” などの使い分け
- 動詞の活用を「口に出して」毎日確認
数学:一次関数・図形の理解
- 「変化の割合」の意味を言葉で説明できるように
- 補助線・高さ・角度の取り方を図に描いて体得
国語:論理的文章の構造理解
- 接続詞(だから・しかし)の働きに注目
- 文章要約トレーニング
【中学3年生】
英語:関係代名詞・受動態・長文読解の土台作り
- “This is the book which I read.”をSVOCに分けて分析
- 英検3級のリスニング・音読を繰り返す
数学:因数分解・平方根・関数のグラフ
- 「公式で解くだけ」から「なぜそうなるか」へ
- 関数の増減を表で→グラフで→言葉で説明する練習
理科・社会:用語の丸暗記→因果関係を理解する
- 歴史:なぜその戦争が起きたか、流れで説明
- 理科:実験の意味と結果の因果関係を説明
【高校1年生】
英語:品詞・文型の感覚化
- 単語を品詞別に覚える
- 文をSVOCで分けて読む練習
数学:数I・Aの公式理解
- 「公式を導き出す」練習(例えば二次関数の平方完成)
- 場合の数は「数え方」ではなく「構造理解」
現代文:評論文の読解ルールを学ぶ
- 抽象語→具体例の関係に注目
- 筆者の主張を1文でまとめる訓練
【高校2年生】
英語:長文読解と文法力の融合
- 文構造を即座に把握する訓練(例:「関係代名詞の先行詞は何か?」)
- 音読とシャドーイングを毎日(内容を口で要約する)
数学:数II・Bの抽象分野を「図解」して理解
- 対数の意味→グラフと対応させる
- ベクトル:向きと大きさを図で徹底把握
理科:物理・化学の公式の意味理解
- 物理:F=maを「実際の現象」でイメージ
- 化学:molの概念を「水1リットルで何個?」と数値でつかむ
【高校3年生】
英語:過去問演習の中でも「文法・構文」の精査
- 解答後に全文精読+文型チェック
- 読解根拠の「出典箇所」を探す習慣を
数学:応用問題を通じて「基礎の再確認」
- 公式の使い方・導出を都度確認
- 解法の選択理由を「言語化」して説明できるようにする
その他:国公立2次・私立一般の記述対策
- 記述問題で「採点者に伝わる文章」を書く練習
- 解法・思考のプロセスを丁寧に残すことが重要
基礎こそ、受験勉強における最強の武器
受験において、基礎にかけた時間ほど裏切らない投資はない。
- 応用問題に取り組む前に、解法の前提を完璧にする
- 自分の弱点分野を「基礎」から見直す
- 毎日、「反復」と「理解」を組み合わせて進める
最も成績を伸ばすのは、難問ではなく、基礎的な問題を「完璧にこなした人」だ。
だからこそ、今、君がやるべきことは「難しい問題集に手を出すこと」ではない。
まずは、自分の基礎が穴だらけではないか?と感じ、修正点を見つけ、コツコツと修復していくこと。それが、合格への最短ルートと言えるだろう。