中総体も終わったので、今日はちょっとまじめな話をしてみたい。
「なぜ中学生はワークを教科書で調べながら解いてしまうのか?」というテーマについて、考えてみたいんだ。
この話、避けて通れないテーマだと思うんだよね。
「わからない=調べる」が正しいとは限らない?
まず、勘違いしやすいのが「わからなかったら調べるのが正解じゃないの?」という考え。
確かに、調べ学習や探究学習などでは「自分で調べて理解すること」が大事だとされている。
もちろん、それ自体は良いことだ。
しかし、学校のワークにおいて「調べて答えを埋める」ことには大きな落とし穴がある。
なぜ中学生は教科書を見ながらワークを解いてしまうのか?
これは本当に多くの中学生に共通する行動だ。
では、考えられる理由をいくつか挙げてみよう。
① 「答えを埋めること」が目的になってしまっているから
多くの中学生は、「提出しなきゃ」「空欄はダメ」「怒られたくない」などの理由で、とにかく答えを全部埋めようとする。
そうだ。
「できるようになるためにワークを使っている」という本来の目的が忘れられてしまい、
「完成させるための作業」になってしまうのだ。
② 「わからないことは調べていい」と思っているから
これはある意味、真面目な子ほど陥りがちかもしれない。
調べることは良いことだと教わってきたからこそ、わからないときに教科書を開いてしまう。
でも、それって実力がつく学習になっているのだろうか?
③ 「教科書を見れば正解できる」という安心感があるから
人間は本能的に「失敗」や「間違い」を避けようとする。
教科書を見れば正解できる。
空欄にならない。
だから、ついつい見てしまう。
でも、この「間違いたくない」という気持ちが、
本当に大事な「間違いから学ぶ力」を奪っているんだ。
ワークは「テスト前のリハーサル」
ここで視点を変えて考えてみよう。
ワーク=定期テストの予行練習だとしたらどうだろう?
もし君がプロ野球選手を目指していて、試合の前に素振りや練習をするとき、
ピッチャーの球をスローモーションで見せてもらってから打つのかい?
そんなことしてたら、本番の速球に対応できないよね。
つまり、ワークは「本番(テスト)で解けるようになるための練習」なんだ。
だからこそ、教科書を見ないで解くことに意味があるのだ。
教科書を見ずに解くと、どんな力がつくのか?
① 「思い出す力」が育つ
人間の脳は、「思い出そうとすること」で記憶が定着するようにできている。
教科書を見ないで考えると、
「あれ?あの出来事って何だっけ?」
「この公式って何だったっけ?」と記憶をたぐる作業が発生する。
この時こそ、脳が最も学んでいる瞬間なんだ。
② 「弱点」が見える
教科書を見て答えを写してしまうと、自分の苦手な部分や抜けている部分がわからなくなる。
でも、教科書を見ずに解くことで、
「あ、自分は地層のところが曖昧だったんだな」
とか
「英語の時制が混乱してるな」といった自分の穴がはっきり見えるんだ。
これが見えないと、テスト対策なんてできない。
見えると、テスト対策ができる。
これが、本当に大きな違いとなるんだ。
③ 本当の「実力」がつく
「ワークを教科書なしで解けるようになる=その単元を自分のものにした」ということ。
これこそが、テストや入試で問われている「実力」なんだ。
「教科書を見ないで解く」ことには、こんなに意味がある!
まとめてみると、
ワークを教科書を見ずに解くことには、次のようなメリットがあります。
- 思い出す力が鍛えられる(=記憶が定着する)
- 自分の弱点が見える(=効率の良い復習ができる)
- 本当の実力がつく(=テストや将来の応用力になる)
一方で、教科書を調べながら解いてしまうと、
- 答えは合っていても、自分の力ではない
- 自分の理解度がわからない
- 「やったつもり」で終わってしまう
という「とてももったいない勉強」になってしまうんだ。
「苦行」としては良いかもしれないけどね。
じゃあどうすればいいの?
答えはシンプル。
ステップ①:まずは「教科書を見ずに」ワークを解く
どんなに不安でも、まずは「自力で」解いてみる。空欄があっても、間違ってもOK!
ステップ②:その後、教科書で見直し・復習
自分で解いたあとに教科書や答えを見て、
「どこが間違っていたか」「なぜ間違ったか」を確認する。
ここでようやく、調べることの価値が生まれるんだ。
ステップ③:「できなかったところ」を重点的にもう一度解く
間違ったところを中心にもう一度解く。
2回目はだいぶスムーズにいくはずだ。
ここまでやれば、かなり力がついているよ。
最後に:勉強は「見かけ」より「中身」だ!
全部正解していても、実力がついていないことがある。
間違っていても、そこから学べば、グンと伸びることがある。
ワークの目的は「埋めること」ではなく、「力をつけること」。
そのことを忘れずに、少しだけ勇気を出して、教科書を閉じてみよう。
きっと、君の中に眠っている「本当の力」が目を覚まし始めるはずだから。
おわりに
塾でも、入塾間もない生徒から「どうすればもっとできるようになるんですか?」
という相談を受ける。
そのたびに、「ワークを解くときに、まずは教科書を見ないでやってみて」と伝えている。
なぜなら、それが一番シンプルで、確実に効果のある方法だからだ。
今日から君も、自力で勝負してみないか?
君の力は、きっと想像以上に眠っていると思うよ。