塾長コラム

「文転できる」という言葉に隠された過酷な現実

高3になってから「やっぱり文系に行きたい」と決断したとします。

しかし、はっきり言って高校のカリキュラムは、
生徒の都合に合わせて簡単に「文転」などさせてくれません。

実際にどうなるかというと、
高3の最も貴重な受験期に、
自分の大学受験には一切使わない高度な物理や数Ⅲといった理系の授業を
毎日受けさせられます。もちろん考査もあります。

そしてその裏で、
自力で文系の受験勉強(手付かずだった歴史など)を進めなければならないのです。

「理系から文系には行ける」というのはあくまでシステム上の話であり、
実際の生徒が置かれる状況は、想像を絶するほど過酷になります。

勉強量「2倍」の差と、見切り発車の危険性

そもそも、文系と理系では背負う勉強量に圧倒的な差があります。
体感として、理系の負担は文系の2倍近くになりますよ。
2倍より多いかもしれません。

この「理科2科目と数学Ⅲの桁違いの重さ」を本当に分かっているのかどうか。
そして、その過酷な重荷を背負ってでも理系に進みたいという「理由」が自分の中にあるのかどうか。

そこまで深く考えず、「なんとなく潰しが効きそうだから」「周りの友達に理系が多いから」といったフワッとした理由で理系を選んでしまう生徒が意外と多いのですが、
間違いなく後で大変な思いをしてしまうでしょう。

「学部卒での就職」なら、文理の壁は存在しない

今の段階で、将来の仕事を完全に決めておく必要など全くありません。

しかし、最終的に「就職」を見据えて大学へ進学する人が大半である以上、
知っておくべきリアルな事実があります。

それは、「大学院まで進まず、学部卒(4年制)で就職する」という前提であれば、
日本の企業の大半は「全学部・全学科」を対象に採用を行っているということです。

もちろん採用する企業側の見えない都合はあるかもしれませんが、
少なくとも応募する段階において、文系か理系かで明確に区別されることはありません。

つまり、大学を4年で卒業して一般企業に就職するのであれば、
文系に行こうが理系に行こうが、受けることができる会社はほとんど変わらないんです。

この事実を知っていれば、「就職に有利そうだから」というだけの理由で、
興味もないのに理系の過酷なカリキュラムに耐える必要など、
どこにもないことが分かります。

「とりあえず理系」という過剰な保険(足し算)は、高校生活の貴重な時間とエネルギーを奪うだけです。

周囲のノイズを引き算し、
理系の圧倒的な勉強量という「事実」を知った上で、
自分が本当にその重荷を背負うべきなのかを、
シンプルに考えてみてほしいと思います。

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