豊かな時代が、弱い人間を作る
海外で広く共有されている、歴史の循環を表す言葉があります。
厳しい時代が、強い人間を作る。
強い人間が、豊かな時代を作る。
豊かな時代が、弱い人間を作る。
弱い人間が、厳しい時代を作る。
歴史はこのサイクルをずっと繰り返してきた、という見方です。
これが正しいかどうかの判断は、歴史学者に任せます。
ただ、教育の現場で10年以上子どもたちを見てきた実感として、
「豊かな時代が、弱い人間を作る」という部分には、否定しがたいものがあります。
「困った経験がない」子どもが増えている
今の子どもたちは、歴史上もっとも恵まれた環境にいます。
食べるものに困らない。
安全な家がある。
学校に通える。
情報は無限に手に入る。
これ自体は素晴らしいことです。
ただ、恵まれた環境には副作用があります。
「本気で困った経験」がないまま育つ子が増えているのです。
テストで悪い点を取っても、生活は何も変わらない。
忘れ物をしても、親が届けてくれる。
嫌なことがあれば、やめればいい。
失敗しても、誰かがフォローしてくれる。
困らないから、困難に耐える力が育たない。
耐える力がないから、少しの壁でやめてしまう。
やめても困らないから、また同じことが繰り返される。
教育の世界でも、同じサイクルが回っている
教育の世界にも、このサイクルは見えます。
「子どもを傷つけてはいけない」
「失敗させてはいけない」
「苦手なことを無理にやらせてはいけない」。
こうした考え方が広がった結果、
子どもたちから「乗り越える経験」が消えつつあります。
テストの順位を公表しない学校が増えました。
運動会で順位をつけない学校もあります。
通知表の所見からネガティブな表現が消えました。
子どもが傷つかないように、あらゆる角を丸くしている。
その結果、何が起きているのか。
「自分がどこにいるのか分からない」子どもが増えています。
自分の実力を直視する機会がないまま受験期を迎え、現実を突きつけられて初めて慌てる。
リアルに想像してみようという記事を書いたのも、
不合格という現実を想像すらしたことがない子が増えているからです。
「やさしさ」と「甘さ」は違う
誤解しないでほしいのですが、
私は「子どもを厳しく叱れ」「昔のやり方に戻せ」と言いたいのではありません。
ただ、「子どもを傷つけないこと」を最優先にした結果、
「子どもを鍛えること」が後回しにされているのは事実です。
やさしさとは、子どもが壁にぶつかったときに「やめていいよ」と言うことではありません。
「ここを乗り越えたら、その先に何があるか」を見せて、乗り越えるまで隣にいることです。
甘さとは、壁そのものを取り除いてあげることです。
壁がなければ子どもは傷つかない。
でも、壁を乗り越えた経験もない。
その子が将来、本当に大きな壁にぶつかったとき、乗り越え方を知らない。
受験は、数少ない「壁」の一つ
今の日本で、中学生が本気の壁にぶつかる経験は多くありません。
その中で、受験は数少ない「本気の勝負」です。
志望校に届くかどうか、はっきりと結果が出る。
努力が足りなければ落ちる。
誰のせいにもできない。
この厳しさがあるからこそ、受験を乗り越えた経験は一生の財産になります。
ただし、それは「全力でやった」場合に限ります。
情報を集めてリスクを回避して、安全な道を選んで、無難に通過した受験からは何も残りません。全力で壁にぶつかること自体に意味がある。
この話は情報が多すぎて全力を出せない子どもたちにも書きました。
「やり切らせる」ことが、強さを育てる
私が教室で一貫してやっていることは、「やり切らせる」ことです。
学校ワークを最後まで解き切る。
間違えた問題を正解するまで解き直す。
分からないところを「分からない」で放置しない。
地味で、しんどくて、途中で投げ出したくなる作業を、最後までやらせる。
これは子どもにとって楽な経験ではありません。
でも、やり切った後に「自分はやれた」という実感が残る。
その実感こそが、次の壁に向かう力になる。
豊かな時代だからこそ、意図的に「やり切る経験」を作らなければ、子どもは強くなる機会を失います。
受験勉強は、その最良の機会の一つです。
保護者の方へ
お子さんが「もう無理」「やりたくない」と言ったとき、すぐに助け舟を出していませんか。
気持ちは分かります。
親として、子どもが苦しんでいるのを見るのはつらい。
でも、「もう無理」の少し先に、「あ、できた」がある。
そこまで踏ん張らせることが、今のお子さんに一番必要なことかもしれません。
私たちの教室では、子どもが壁にぶつかっても、壁を取り除きません。
乗り越え方を一緒に考えて、乗り越えるまで伴走します。
アンビシャスの考え方に、その全体像を書いています。
お子さんの今の学力で志望校にどのくらい届いているかは、志望校判定ツールで確認できます。
壁の高さを知ることが、乗り越える第一歩です。
📍 この記事を読んで、こう思いませんでしたか?
「うちの子は、今どの位置にいるんだろう」
内申点と定期テストの点数を入れるだけで、志望校までの距離がその場でわかります。無料・登録不要・30秒。
志望校までのキョリを診断する「うちの子、志望校に届くんだろうか」
気になったら、まずは無料の個別相談で話を聞いてください。
約45分・完全個別。いきなり入塾を勧めることはありません。
「まずは気軽に質問したい」という方は、LINEでもどうぞ。
LINEで友だち追加する
