大人の目からすると大した事に見えないようなことでも、
子どもにとっては大きな成果だったという場合があります。
これは、以前通塾していた生徒の話です。
中1の10月に入塾したBさん。
2学期の中間テストは、5教科で158点でした。
それを見て、慌てて体験を申し込んできたというわけです。
実際、大変な状況でした。数学は、定期テストで16点でした。
入塾後、最初は質問に来ることを恥ずかしそうにしていましたが、
当塾は「間違えても恥ずかしくない」というスタイルだと理解すると、
それに早く馴染み、「全然わかりませーん(笑)」
と言って質問に来ていました。懐かしいです。
テストは5教科トータルで、
158点(2学期中間)⇒182点(2学期期末)⇒201点(3学期期末)
と上がっていきました。
私は、全員のテストの点数をメモしていますので、
「20点ずつ上がってるね!すごいね!」
という様に声がけしていきました。
しかし、Bさんのお母さんは、納得がいかない様子でした。
年度末の進級面談では、
「塾に通ったら、普通はもっと上がるんじゃないんですか?」
「通塾の継続は、次のテストで決めさせていただきます。」
と伝えられました。
「分かりました。1学期の中間の結果で決めてください。」
と私は答えました。
確かに、まだまだ点数は低かったですからね。
しかし、ある日のことです。
お母さんは、Bさんが書いていたメモを見つけました。
そこには、「今回は20点UP!よし!」の様に書かれていたそうです。
Bさんは、自分のテストの点数の推移を記録していたのです。
これを見て、お母さんは理解しました。
この点数アップが、Bさんにとって、どれほど重要な意味を持っていたのかという事を。
すぐに、お母さんから連絡が来ました。
翌日に保護者面談を行い、作戦会議をしました。
その時の打ち合わせ通りに進め、2年生最初の中間テストを迎えました。
Bさんは、
336点(中間)⇒378点(期末)⇒401点(中間)
と圧巻の成績アップを果たしていきます。
私も、正直言って驚きました。
中3になっても、400点前後をコンスタントに取っていました。
この成績アップの背景には、ご家庭での工夫もあったのです。
Bさんのお母さんは、ご家庭での接し方を変えました。
Bさんの「出来たことを褒める」ようにしたのです。
それまでは、
「どうしてこんなのも出来ないの?」
と出来ない事ばかりを指摘していました。
減点主義から加点主義への転換を行ったというわけです。
この転換により、Bさんは、どんどん積極的になりました。
Bさんは、次第に自ら勉強するようになりました。
最後は、「数学が好きになりました」と言っていました。
入塾時の数学は16点です。それが中3では80点台を取るまでになりました。
公立高校入試では62点でしたが、平均点が49点の年でした。立派な点数です。
テスト前は、いつも最後まで残って質問していましたね。
これはひとつの例です。もちろん、こういうケースばかりではありません。
ただ、大人にとっては些細なことでも、子どもにとっては大きな成果という事があります。
これを見落とさない様にしていきたいですね。