塾長コラム

指導者が「自分の経験」からしか語れないリアルな理由

「名選手は名監督にあらず」。

教育やスポーツの世界でよく耳にする言葉です。
自分ができたからといって、他人に上手く教えられるとは限らない、
という意味で使われます。

しかし、この業界に10年以上身を置いて強く感じるのは、
「物事の本質は、実際にそれを経験し、結果を出した人間からしか伝えられない」
ということです。

世の中には、さも「絶対的な正解のノウハウ」であるかのように語られる勉強法や教育論が溢れています。

しかし、そのほとんどは、どこかで聞いたような耳障りの良い「一般論」を振りかざしているに過ぎません。

そこには、発信者自身の血肉となった「リアルな根拠」がすっぽりと抜け落ちていることが少なくないのです。

分かりやすい例が、
「インプットとアウトプット、どちらが重要か」というよくある議論です。

「とにかく演習量(アウトプット)を増やせ」と主張する声は多いですが、
実体験から言えば、インプットが不十分な状態でいくらアウトプットの量をこなしても、
ろくな結果は出てきません。

インプットのやり方を知っているからこそ、アウトプットした時の「自分の間違いの違和感」に気づくことができ、そこからさらに深いインプットへと繋がっていく。

つまり、この2つは完全に「両輪」なんです。

そもそも「演習量を増やす」という言葉一つとっても、
指導者によってその定義や見ている世界は全く異なります。
一般的に「これが正しい」と言い切れる絶対的な基準など、最初から存在しないんです

僕がアンビシャスで、
「情報を遮断し、教材を極限まで絞り込む」というやり方を提唱しているのも、
どこかの教育書で読んだ一般論だからではありません。

僕自身が学生時代にそのやり方で一定の結果を出し、
指導者になってからも、
同じやり方で目の前の子どもたちが次々と結果を出していくのを、
この目で見てきたからです。

もちろん、
これがすべての人に当てはまる「絶対的な魔法の解」だなどと
傲慢なことを言うつもりはありません。

世の中で言われているような一般的な勉強法とは違う角度からの、
あくまで「ひとつの提案」です。

しかし、一般論のノイズに流されず、
自分自身のリアルな経験と確かな結果という「根拠」に基づいているからこそ、
生徒に対して迷いなく伝えることができます。

誰かが作った一般論を、さも絶対的なノウハウのように語る言葉は、
一見もっともらしく聞こえます。

しかし、そこには経験という裏打ちがないため、
いざ不測の事態が起きた時に脆くも崩れ去ります。

本当に生徒の行動を変えるのは、
指導者自身が泥臭く経験してきた「リアルな手ざわり」だけです。

世の中の一般論を引き算し、経験という確かな根拠に基づく提案だけを、
これからも静かに伝えていきたいと思います。

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