「銀の匙」を読み返した やっぱり名作だった
荒川弘さんの「銀の匙 Silver Spoon」って読んだことありますか?
僕 久しぶりに読み返したんですけど やっぱり名作でした
北海道の農業高校が舞台で 進学校を逃げ出した主人公が 泥だらけになりながら成長していく話なんですけどね
今回読んで一番刺さったのは これだったんです
机の上の知識って 経験の前では無力だなと
八軒は勉強ができた でも何もできなかった
主人公の八軒って テストの点数なら周りの誰にも負けないんですよ
勉強はできる
でも 豚の世話ができない
馬に触れない
土の匂いすら知らない
チーズの作り方を教科書で読んだことはあっても 自分の手で作ったことはない
一方で同級生たちは テストの点は高くないけど 生き物と向き合える
天候を読める
食べ物がどうやって自分の手元に届くかを 身体で分かってる
この差って 頭の良さの差じゃないんですよね
経験の差なんです
そして経験の差は 机の上では絶対に埋まらない
経験知って 言葉にできないんです だから強い
自分が名前をつけて育てた豚が 肉になる
その過程を目の前で見届けたとき 人は何を感じるか
本で読んでも分からないんですよ
映像で見ても分からない
自分の手で餌をやり
自分の目で成長を見守り
自分の判断でその先を決める
その一連の体験を通過した人間だけが持てるものがあるんです
それは知識じゃない
覚悟です
早朝の牛舎で 息が白くなるほどの寒さの中で搾乳する
失敗して 悔しくて それでも翌朝また同じ場所に立つ
できなかったことが ある日突然できるようになる
その瞬間の手応えって 成功だけを知っている人間には永遠に分からないんです
「銀の匙」が名作なのは この「言葉にできない経験知」を漫画という形で叩きつけてくるからなんですよね
読むたびに殴られる
読むたびに気づかされる
「分かったつもり」が一番怖いんです
理論は大事です
知識は大事です
それは否定しません
でもね 理論だけで止まった人間は「分かったつもり」になるんですよ
これが一番怖い
料理のレシピを100個暗記しても 包丁を握ったことがなければ りんごの皮すらむけないですよね
経営学の教科書を全部読んでも 商売をしたことがなければ 1円も稼げない
設計図は描ける
でも 建物は建たない
知識は経験の土台にはなります
でも 土台だけでは家にならない
家にするには 自分の手で 泥だらけになりながら建てるしかないんです
今の子どもたちから 経験が奪われてるんです
ここが一番言いたいことなんですけど
今の子どもたちは 経験する機会を大人に奪われてると思ってます
危ないからやらせない
失敗したらかわいそう
効率が悪いから大人がやった方が早い
ケガをしたら責任問題になる
そうやって 子どもが泥だらけになるチャンスを 大人が一つずつ潰してるんですよね
その結果 何が起きてるか
自分で考えて動けない子が増えてます
失敗が怖くて挑戦できない子が増えてます
傷ついたことがないから 傷つくことが致命傷になってしまう子が増えてます
八軒は農業高校で 何度も失敗しました
恥もかいた
泣いた
逃げたくなった
でも 逃げなかった
逃げなかったから 強くなった
進学校にいた頃の自分では絶対に手に入らなかったものを 泥だらけの3年間で手に入れたんです
あの3年間を 今の教育は子どもたちから取り上げようとしている
そのことに 僕は強い危機感を持ってます
勉強だけしていればいい とは僕は言いません
僕は塾をやってます
勉強を教える仕事です
だから「勉強しなさい」と言う側の人間です
でも 「勉強だけしていればいい」とは絶対に言いません
部活で仲間とぶつかってほしい
家の手伝いをしてほしい
知らない場所に行ってほしい
失敗してほしい
恥をかいてほしい
悔しい思いをしてほしい
そして それでも次の日を生きてほしい
そうした経験の一つひとつが その子の「厚み」を作るんです
テストの点数には表れません
偏差値にも出ません
でも 大人になったとき その厚みが自分を支えてくれます
自分の足で立てる人間にしてくれます
「銀の匙」の八軒がそうだったように
成績が気にならない親なんていませんよね
テストの点数 内申点 志望校
気になって当然です
でも お子さんの人生は テストの点数だけでできているわけではありません
泥だらけになる経験
失敗して立ち直る経験
誰かのために汗をかく経験
そうしたものを お子さんから取り上げないであげてください
点数より大事なものが そこにはあります
もしまだ読んだことがなければ 「銀の匙」を一度手に取ってみてください
全15巻 お子さんと一緒に読んでほしい漫画です
この考え方の全体像はアンビシャスの考え方に書いています
「うちの子、志望校に届くんだろうか」
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