「英検は受けた方がいいですか?」への答え
保護者の方から、よくいただく質問です。
私の答えは、いつも同じです。
「英検は良い資格です。でも、今受けるべきかどうかは別の話です。」
これです。
英検を否定しているわけではありません
まず誤解のないように言っておきます。私は英検を否定していません。
資格を目標にして努力すること自体は素晴らしい。
合格すれば自信にもなる。
高校生や大学生になれば、英検を持っていることで進学や就職に有利になる場面もあります。
ただ、長年子どもたちを指導していて、気になることがあります。
英検に合格したことで「自分は英語ができる」と思ってしまう生徒がいるのです。
しかし、英検3級に受かったのに、学校の定期テストでは70点台。
教科書の本文を読ませると、基本的な文法が怪しい。
こういうケースを何度も見てきました。
「学校の英語」と「英検の英語」は、別の競技です
なぜこんなことが起きるのか?
それは、学校の定期テスト・高校入試・英検では、同じ「英語」でも求められている力が違うからです。
陸上競技に例えると分かりやすいかもしれません。
短距離、長距離、ハードル。
どれも「走る競技」ですが、それぞれ練習内容は違います。
短距離の大会が近いのに長距離の練習ばかりしていたら、結果は出ません。
練習が無駄というわけではない。ただ、今やるべき練習ではないのです。
学校の定期テストでは、教科書の本文を理解しているか、授業で習った文法を使えるかが問われます。
岩手県の公立高校入試では、それに加えて、初めて見る長文を読む力や英作文など「英語を使って情報を処理する力」が求められます。
英検は英検で、級ごとに決められた出題形式があり、その形式に合わせた単語・長文・ライティング・面接の対策が必要です。
共通する部分はもちろんあります。でも、目的が違えば優先すべき練習も変わります。「今、何の大会に向けて走っているのか」を見失ってはいけません。
岩手県の公立高校入試では、英検の加点はありません
ここは保護者に知っておいてほしい事実です。
岩手県の公立高校入試では、英検を持っていても合否に影響しません。加点制度がないのです。三高・四高・北高を目指す生徒にとって、英検の級は入試の武器にはなりません。
一方、私立高校では英検が優遇される場合があります。たとえば盛岡中央高校では、準2級以上で優遇措置が受けられます。ただし、これも「併願で私立を受ける場合の加点」であって、第一志望が公立であれば、英検対策に時間を使う優先度は下がります。
つまり、三高・四高・北高を目指す中学生にとって、英検は「あれば嬉しいが、なくても不利にならない資格」です。この点、意外と誤解されている方も多いのではないでしょうか?
中3の秋に英検対策をしている余裕はない
中学3年生の夏から秋。この時期は、定期テストで内申を固め、受験勉強を本格化させる最も重要な時期です。
この時期に英検の対策に時間を使うと、何が起きるのか?
英検用の単語帳を開いている時間の分だけ、学校ワークの解き直しができなくなります。
英検の過去問を解いている時間の分だけ、定期テストの範囲の復習ができなくなります。
内申点は中3の2学期で確定します。中3の配点は中1の3倍です。
この時期の定期テストで10点落とすことと、英検に合格することと、どちらが入試に影響するかは明らかです。
内申の重要性については中2の内申点が入試に直結する理由にも詳しく書いています。
英検は「今しか取れない資格」ではない
受験勉強には期限があります。入試の日は動かせません。でも、英検はいつでも受けられます。
準2級や2級は、高校生になってから取得しても十分に活用できます。
むしろ、大学入試で英検を利用する場合、高校入学後に取得した資格を対象とする大学が多く、中学生のうちに取った級がそのまま使えるとは限りません。
つまり、英検は「今取らないと損する資格」ではないのです。今は学校の勉強と受験勉強に集中して、高校に入ってから英検に取り組んでも、何も遅くないのです。
「受けられるから受ける」ではなく、「今受ける意味があるから受ける」
勉強で大切なのは、「何を勉強するか」だけではありません。「今、それを勉強すべきかどうか」を判断することです。
英検を受けること自体は良いことです。ただ、中学3年生の秋に、公立高校入試に加点されない資格の対策に時間を使うのは、優先順位として正しいとは思えません。
「受けられるから受ける」のではなく、「今受ける意味があるから受ける」。この判断ができること自体が、受験を通じてお子さんに身につけてほしい力の一つです。何に時間を使うかを見極めることの大切さは、学習計画に余白を作るべき理由にも書きました。
もし英検を受けるなら、このタイミング
それでも英検を受けたいという場合は、タイミングが重要です。
中1・中2のうち、定期テストに余裕がある時期に受けるのが最も合理的です。
3級までは中学校の学習内容と重なる部分が多いので、学校の勉強がそのまま英検対策になります。特別な対策時間を取らずに済むタイミングなら、受ける価値はあります。
中3に入ったら、受験勉強を最優先にしてください。英検は高校に入ってからでも遅くありません。
お子さんの今の学力で志望校にどのくらい届いているかは、志望校判定ツールで確認できます。英検より先に、まず志望校との距離を把握することが、受験勉強の出発点です。
この考え方の全体像はアンビシャスの考え方に書いています。
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