中3の君は、なんのために受験勉強をしているんだろう?
…そんなこと、いきなり聞かれても困るよね。
「とりあえず高校に行くため」
「周りがやってるから」
「親に言われたから」
たぶん、そんな答えが多いんじゃないかな。
でも実は、今の地方の高校受験って、「ちょっと勉強すれば入れる」って状況になってきてる。
定員割れの高校も増えてるし、「とにかくどこかには入れる」って空気もある。
実際、私立まで考えれば、全員が高校に入学できる。
だから、「がんばらなくてもいいんじゃね?」って思う人もいるかもしれない。
でも、ちょっと待ってほしい。
ほんとにそれで、いいのかい?
君の人生の中で、「いちばん努力した」と胸を張って言える経験が、
中学校が終わるまでに、ひとつもなくていいのかい?
合格なんて、通過点。でも――
たしかに、高校受験のゴールは「合格」だ。
でもね、それは「表面的なゴール」にすぎない。
本当のゴールは、「あの時、本気でがんばった」という経験を手に入れることなんじゃないかと思う。
なぜかって? それは、人生には「踏ん張らなきゃいけない瞬間」が何度もやってくるからだよ。
夢がうまくいかないとき。
人間関係で悩んだとき。
仕事でつまずいたとき。
進路を決めなきゃいけないとき。
失敗して、自分を見失いそうになるとき。
そういうときに、支えになるのは、「過去の自分のがんばり」なんだ。
「いや、自分はあのとき、泣きながら机にかじりついて勉強したじゃないか」
「あんなに頑張れたじゃないか。だから今も、やれるはずだ」
そんな「自信の根っこ」をつくるのが、受験なんだ。
今、本気を出せる奴は、将来も強い。
誤解してほしくないんだけど、「受験がすべてだ」と言いたいわけじゃない。
君の人生にとって、たしかに高校受験はひとつの通過点。
でも、通過点だからこそ、本気でやっておく意味がある。
なぜかって?
本気で努力する経験って、そうそう何度もできるもんじゃないからだよ。
むしろ、中学生の今しかできないかもしれない。
時間も、体力もあって、親や先生が応援してくれて、友達と一緒にがんばれる。
こんな恵まれた環境、社会人になったらまずない。これ本当の話。
本気を出せる場所がある。
本気を出してもいい空気がある。
そして、本気になれば未来が変わる。
だったら、やってみようじゃないか。
「自分史上最高の努力」を、ここで更新してみようよ。
周りと比べるな、自分と比べろ。
でも、中にはこう思う人もいるかもしれない。
「自分は成績が悪いから、本気を出したってどうせ意味ない」
「いまさらがんばっても、偏差値は上がらない」
「周りの頭のいい子には敵わない」
……それ、誰かと比べて落ち込んでるだけじゃない?
大事なのは、「昨日の自分」と比べてどうかだよ。
昨日よりも今日は集中できたかどうか
先週よりも今週は英単語を覚えることができたかどうか
先月よりも、解ける問題が増えたかどうか
ほんの少しずつでも、自分が前に進んでいると実感できること。
それこそが、君の「成長」なんだ。
誰かに勝つことじゃない。
自分に負けないこと。
それが、人生を切り拓く力になる。
楽な道は、あとで苦しくなる。
世の中には、なるべく努力をしないように生きる人もいる。
それはそれで、ひとつの生き方かもしれない。
でもね、不思議なことに――
楽を選んだ人ほど、後で苦しくなっている。
進路で苦しみ、就職で苦しみ、人間関係で苦しむ。
一方で、今きつい道を選んでる人は、あとでラクになる。
苦しいことにも慣れてるし、努力の仕方を知ってるからさ。
だから、今この瞬間の「きつさ」は、未来の「やさしさ」になる。
本気でがんばるって、そういう魔法なんだ。
「がんばった過去」が、君を守ってくれる。
人生には、「結果が出ないこと」もたくさんある。
だけど、努力した事実は、どんな結果よりも君を守ってくれる。
「あのとき、逃げなかった」
「あのとき、自分と戦った」
「あのとき、折れそうだったけど、続けた」
そんな記憶が、君の心の奥でずっと燃え続けてくれる。
受験勉強って、その火種を手に入れるための、尊い経験なんだ。
最後に――
君がもし、「がんばる意味がわからない」と思っているなら、こう考えてほしい。
今のがんばりは、未来の自分を助けるプレゼントなんだ。
大人になったとき。
壁にぶち当たったとき。
「もうだめだ…」と膝をつきそうになったとき。
君の中にある「あの受験の記憶」が、君を再び立ち上がらせる。
「自分は、あのときだって乗り越えたんだ。今も、絶対に大丈夫だ」
そう思えるような「自分史上最高の努力」を、いま、ここで、やってほしい。
受験は、自分を信じるための旅だ。
最高の「踏ん張った記憶」を、君の中に残してほしい。
君の人生は、まだ始まったばかりだ。
そして、そのスタートラインで、君はすでに何かを選ぼうとしている。
「本気でやるか、流されるか」の選択さ。
どうする?
決めるのは君だ。