うまくいかないのは、能力の問題じゃない。やり方を更新していないだけかもしれない
スピードスケートの高木美帆選手の話をさせてください。
高木選手は中学3年生で五輪代表に選ばれ、「スーパー中学生」と呼ばれた人です。誰もが認める天才でした。
ところが、大学1年の年に全種目で代表落ちしています。あれほどの実力を持った選手が、選考会で全滅した。
その時期を振り返って、高木選手はこう語っています。住まいが変わり、大学に入って部活の環境も変わった。監督も教え方も違う。色々なことがそれまでと違う中で、変わるのが怖かった——と。
練習不足でも、才能の限界でもない。「変わるのが怖かった」。この言葉の重さを、教育の現場でも感じることがあります。
中学生にも、同じことが起きている
中1のときは成績が良かったのに、中2になって急に下がった。こういう相談をよく受けます。
原因を探ると、多くの場合、能力の問題ではありません。中1のときにうまくいった勉強のやり方を、そのまま中2に持ち込んでいるのです。
中1では、テスト前にワークを1回解くだけでそこそこの点数が取れた。授業を聞いていれば何とかなった。でも、中2になると内容が難しくなる。英語は文法が複雑になり、数学は一次関数や証明が入ってくる。同じやり方では、同じ結果が出なくなる。
でも、やり方を変えない。変えられない。なぜなら、「このやり方でうまくいってきた」という成功体験があるからです。
高木選手が言った「変わるのが怖かった」は、まさにこれです。
成功体験が、次の成長を止めることがある
うまくいった経験は、自信になります。自信は大事です。でも、その自信が「このやり方を変えてはいけない」という固定観念に変わると、成長が止まります。
中1で80点取れたやり方が、中2でも80点取れるとは限らない。小学校で通用したやり方が、中学校で通用するとは限らない。環境が変われば、やり方も変えなければならない。
ところが、人は「うまくいったやり方」を手放すのが怖い。新しいやり方を試して、もし今より悪くなったらどうしよう。そう考えると、結果が出なくなっていると分かっていても、今のやり方にしがみついてしまう。
高木選手ほどの天才ですら、この壁にぶつかった。中学生がぶつかるのは、当然のことです。
高木選手は、変わることを選んだ
高木選手がすごいのは、その後です。
全種目で代表落ちした後、彼女は変わることを受け入れました。新しい環境、新しいコーチ、新しいやり方。それまでの成功体験を一度手放して、ゼロから自分を作り直した。
その結果、4年後の選考会で国内記録を出して復活。最終的に冬季五輪で日本選手最多となるメダルを獲得しています。
「変わるのが怖い」を乗り越えた先に、それまでの自分を超える結果があった。これは、スポーツの話だけではありません。
勉強も同じ。やり方を「更新」する必要がある
中学生の勉強には、ステージの変わり目があります。
小学校から中学校。中1から中2。中2から受験生。定期テストから実力テスト。それぞれのステージで、求められるものが変わります。
前のステージで通用したやり方を、そのまま次に持ち込んでいないか。うまくいかないのに、やり方を変えずに「もっと頑張ろう」としていないか。
もし心当たりがあるなら、必要なのは「もっと頑張ること」ではなく、「やり方を更新すること」です。
具体的に何を更新するか。たとえば、ワークを1回解いて終わりにしていたのを、間違えた問題を解き直す習慣に変える。まとめて丸つけしていたのを、1ページごとに変える。こうした小さな更新の積み重ねが、次のステージに適応する力になります。具体的なやり方は学校ワークの使い方で定期テストの点数は決まるに書きました。
変わることは怖い。でも、変わらないまま結果が出ない方が、もっと怖い。高木美帆選手が証明したのは、変わる勇気を持った人間は、前の自分を超えられるということです。
保護者の方へ
お子さんの成績が下がったとき、「もっと勉強しなさい」と言いたくなるのは自然なことです。
でも、もしかすると足りないのは勉強の「量」ではなく、やり方の「更新」かもしれません。前はうまくいっていたやり方が、今のステージに合わなくなっているだけ。お子さん自身も、何が原因か分からずに苦しんでいる可能性があります。
やり方の更新は、一人では難しいものです。前のやり方で成功した経験があるほど、手放すのが怖い。だからこそ、隣で「こうしてみよう」と一緒に考えてくれる存在が必要です。
「勉強しなさい」と言い続けることに疲れたら、勉強のことは私たちに任せてください。アンビシャスでは、お子さん一人ひとりの「今のステージ」に合ったやり方を、一緒に見つけていきます。
この考え方の全体像はアンビシャスの考え方に書いています。お子さんの今の学力で志望校にどのくらい届いているかは、志望校判定ツールで確認できます。
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