「将来の夢がない」は、問題ではありません
中学生の保護者から、こんな相談を受けることがあります。
「うちの子、将来の夢がないんです。大丈夫でしょうか」
大丈夫です。
むしろ、今の段階で「やりたいこと」が見つかっていない方が、これから成長していく中での選択肢は多いとすら思っています。
「やりたいこと」を仕事にすると、うまくいかないことがある
世の中では「好きなことを仕事にしよう」「やりたいことを見つけよう」とよく言われます。
学校のキャリア教育でも、将来の夢を書かせる授業があります。
ただ、実際に「やりたいこと」を仕事にした人がどうなるかを見ていると、必ずしもうまくいくとは限りません。
好きだったはずのことが、毎日の仕事として繰り返すうちに楽しくなくなる。
「やりたい」という気持ちだけで選んだ仕事が、収入に結びつかない。
好きだったことが嫌いになってしまう。
こういうケースは珍しくありません。
なぜ、こうなるのでしょうか?
それは「やりたいこと」と「人から求められること」が、必ずしも一致しないからです。
仕事の本質は「需要」にある
仕事とは、突き詰めれば「人から望まれることをして、対価をもらう」行為です。
自分が「これをやりたい」と思っても、それを求める人がいなければ、仕事にはなりません。
逆に、自分がやりたいと思っていなかったことでも、人から求められてやってみたら、思いのほか向いていた。そんな経験をした大人はたくさんいます。
つまり、仕事選びの出発点は「自分は何がしたいか」ではなく、
「自分は何をしたときに人から喜ばれたか」なのです。
「できるようになってから、好きになる」が本当の順番
「好きだから頑張る」。
それは確かにあります。
でも、実はもっと多いのは逆のパターンです。
最初は興味がなかったことでも、やっているうちにできるようになる。
できるようになると、もっとやりたくなる。
気がつけば、好きになっている。
仕事も同じです。
最初から「やりたいこと」を探す必要はありません。
まず目の前のことに取り組んで、できるようになる。
できることが増えれば、その中から自然と「もっとやりたい」と思えるものが見つかります。
中学生の今、将来を決める必要はない
中学生のうちから将来の夢を決める必要はありません。
むしろ、15歳の時点で「これしかやりたくない」と決めてしまう方がリスクです。
世の中には、中学生がまだ知らない仕事が無数にあります。
知らないものの中に「向いていること」がある可能性を、
今の段階で閉じてしまうのはもったいない。
そしてもう一つ。
自分では気づきにくいですが、周りの人は意外と見ています。
「あの子はこういうことが得意だ」「あの子に頼むと助かる」。
自分の適性は、自分の内側を探すよりも、周りからの評価の中に見つかることの方が多い。
「人から望まれること」は、生きていれば見つかる
自分が何に向いているか。
何をしたときに人から喜ばれるか。
それは、今の時点で無理に探す必要はありません。
学校生活、部活、友達との関わり、家族の中での役割。
日々の経験の中で、「ありがとう」と言われる場面は自然と訪れます。
その積み重ねの中から、自分が「人から望まれていること」は少しずつ見えてきます。
15歳で見つからなくて当たり前です。
20歳でもまだ見えないかもしれない。
30歳になってようやく「自分はこれだったのか」と気づく人もいます。
それでいい。
焦って「やりたいこと」を決める方が、よほどリスクがあります。
保護者の方へ
「将来の夢がない」と言うお子さんを見て、焦る必要はありません。
夢がないのは、まだ見つかっていないだけです。
そして見つけるための一番の近道は、「自分は何がやりたいか」を考え込むことではなく、目の前のことに取り組みながら、周りの反応に目を向けることです。
お子さんが何かをしたとき、誰かに喜ばれた経験。頼りにされた経験。
そこに、その子の未来のヒントがあります。
お子さんの可能性を、今の時点で狭めないでください。
この考え方の全体像はアンビシャスの考え方に書いています。
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