塾長コラム

『生徒どうしで話し合いましょう』が 苦手を作っていることがあります

「生徒どうしで話し合いましょう」が 苦手を作っていることがあります

最近の学校の授業で増えていますよね

グループで話し合う
お互いに教え合う
自分たちで答えを導き出す

一見 いい授業に見えます

でも 正直に言います

基礎知識がない状態でやると このような授業は逆効果です

なぜこういう授業が増えたのか

まず背景を知っておく必要があります

2020年から 学習指導要領が改訂されました

「主体的・対話的で深い学び」いわゆるアクティブラーニングを推進する という方針です

背景には OECDのPISA調査で 日本の子どもたちの「思考力・判断力・表現力」が低いと指摘されたことがあります

さらに 大学入試改革の流れで 「知識の暗記より 思考力・表現力を問う」方向にシフトしていきました

つまり 学校の先生たちは 文科省の方針に従って この授業スタイルを取り入れているんです

先生が悪いわけじゃありません
学校が悪いわけでもない
方針として やらざるを得ない状況になっています

でも だからこそ 現場では問題が起きています

知識がない者どうしで話し合っても 何も生まれません

考えてみてください

英語の文法をまだ知らない子どうしで 「この文章の意味を話し合いましょう」と言われても 何も出てきません

歴史の流れを知らない子どうしで 「なぜ戦争は起きたのか話し合いましょう」と言われても 感想の言い合いになるだけです

話し合いが機能するのは 全員がある程度の知識と理解を持っているときだけです

知識がない状態での話し合いは 混乱を整理するんじゃなくて 混乱を増やします

「結論は何なの?」という状態になります

もう一つ 大きな問題があります

話し合いの後に 指導者が正答を示さないケースが意外と多いことです

「みんなの意見が出ましたね」で終わってしまう

生徒からすると 「で 正解は何なの?」という状態になります

色んな意見が出た
でも どれが正しいのか分からない
テストで何を書けばいいか分からない

これは 理解が深まったんじゃなくて 混乱が深まっただけです

苦手意識はここから生まれます

「自分は理解できていない」「この教科は分からない」という感覚が 話し合いのたびに積み上がっていく

主体性は 基礎の上にしか育ちません

生徒が主体的に学ぶことは 大事なことです

でも 順番があります

まず基礎を入れる
理解する
定着させる

その上で 「じゃあこれはどう思う?」と考えさせる

この順番が逆になっているのが 今の参加型授業の問題だと思っています

土台のない家に 2階を作ろうとしているようなものです

高校生までは 基礎を確実に入れることが先です

「自分で考える力」は大事です

でも 考えるための材料がなければ 何も考えられません

医師が手術の方法を考えられるのは 解剖学の基礎知識があるからです
建築家が設計できるのは 構造力学の知識があるからです

知識が先 思考はその後

高校生までは この順番を守ることの方が はるかに大事だと思っています

話し合いや探究は その土台ができてから でも遅くはありません

面白い授業より 基礎を確実に定着させる授業の方が 長期的に子どもの力になります

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