解き直しを赤ペンでやる子は、伸びない
体験授業や、入塾したばかりの生徒に、テストの解き直しをさせるとき、驚くことがあります。
間違えた問題を解き直すのに、いきなり赤ペンを使うのです。
「それ、消せるペン?」と聞くと、「ボールペンです」と返ってくる。「じゃあ、解き直しでまた間違えたらどうするの?」と聞くと、一瞬、固まる。
考えたことがなかったのです。
赤ペンで解き直す子に起きていること
赤ペンで解き直す子は、「解き直し=正しい答えを書き写すこと」だと思っています。
丸つけをして、×がついた問題の横に、赤ペンで正解を書く。ノートの見た目はきれいに直っている。でもそれは「答え合わせ」であって、「解き直し」ではありません。
解き直しとは、間違えた問題を、もう一度自分の力で解くことです。何も見ずに、鉛筆で。そしてまた丸つけをする。ここでまた間違えたら、もう一度解く。正解するまで繰り返す。
赤ペンでは、この「もう一度解く」ができません。1回で終わりです。間違えた問題を1回書き写して終わりにしている子と、正解するまで何度も解き直している子。同じ「勉強した」でも、身につくものがまったく違います。
この子たちは、頑張っていないわけではない
ここが大事なところです。赤ペンで解き直しをしている子が、サボっているわけではありません。
ほとんどの子は、今まで一生懸命やってきた子たちです。テスト前にはちゃんと勉強している。ワークも解いている。丸つけもしている。提出期限だって守っている。
ただ、やり方が惜しい。
教科書を読むだけ。ワークを解くだけ。丸つけをするだけ。ここまではやっているのに、×がついた問題を修正するところまで辿り着いていない。最後の一歩が抜けているだけで、勉強の成果が大きく変わってしまうのです。
「解いた」と「解ける」は違う
ワークを1回解いて丸つけをする。これは「解いた」の段階です。
間違えた問題を解き直して、正解できるようになる。これが「解ける」の段階です。
テストで点数が取れるのは、「解ける」状態の問題だけです。「解いた」だけの問題は、テストで同じ問題が出ても、また間違えます。
さらに言えば、「解ける」と「見た瞬間に解ける」も違います。テストには時間制限があるので、考え込まないと解けない状態では、時間が足りなくなります。基本問題を見た瞬間に手が動く状態まで仕上がっていれば、その分の時間と脳の余力を応用問題に使えます。この話は頭がいい子ほど、実は全部を考えていないにも詳しく書きました。
鉛筆で解き直す。これだけで変わる
やるべきことは簡単です。
ワークの丸つけをしたら、×がついた問題に印をつける。赤ペンで正解を書くのではなく、いったん閉じる。翌日、印のついた問題だけを鉛筆で解き直す。また丸つけをする。まだ×なら、もう一度。正解するまで繰り返す。
これだけです。特別な教材も、テクニックも要りません。鉛筆1本で、勉強の質が変わります。
逆に言えば、この「解き直し」を鉛筆でやっていない限り、どんなに長時間勉強しても、新しい問題集を買っても、映像授業を見ても、成績は動きません。弱点を修正していないからです。
勉強は「×を○にする」作業だと思ってください
テストで点数を取るために必要なことは、実はシンプルです。
○だった問題は、テストでも○になります。放っておいて大丈夫です。
×だった問題を、○に変える。これが勉強の本体です。これ以外のことは、全部おまけです。
教科書を読む、ノートをまとめる、動画を見る。こうした作業も意味はありますが、最終的に×が○に変わっていなければ、成績は上がりません。「×を○に変える作業」を「勉強」と定義してもいいくらいです。
この考え方の全体像はアンビシャスの考え方に書いています。教材を増やさず、学校ワーク1冊をやり切ることの意味が、ここまで読んでいただけたなら伝わるはずです。
保護者の方へ:お子さんの解き直し方を、一度見てください
お子さんが勉強しているとき、解き直しをどうやっているか見たことはありますか。
もし赤ペンで答えを書き写しているだけなら、それは「勉強しているように見えて、実は弱点が一つも直っていない状態」です。お子さんが悪いのではありません。解き直しの正しいやり方を、誰からも教わっていないだけです。
「間違えた問題は、鉛筆で、何も見ずに、もう一度解く」。この一言を伝えるだけで、勉強の質が変わります。そしてこれは、中1でも中3でも、今日から始められます。
お子さんの今の学力で志望校にどのくらい届いているかは、志望校判定ツールで確認できます。
勉強の常識を見直すことの大切さは、スウェーデンが紙の教科書に戻した話にも通じます。タブレットの○×問題では、この「鉛筆で解き直す」プロセスが丸ごと抜け落ちます。
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