塾長コラム

「やりたいこと」で学部を絞るな。文系は「入ってから進路を決める」が正解の理由

高校生が大学受験の志望校を決める時、
学校の先生や親御さんは、
「将来やりたいことを明確にして、それに合った学部を選びなさい」
という指導をすることが多いと思います。

しかし、現場でリアルな進路指導をしている立場から言わせてもらうと、
この「やりたいことベースの学部選び」は、
特に文系(文系学部)においては半分間違っていると思っています。

理系と文系では、大学選びの前提が全く違うという事実を、もっと大人が正確に伝えてあげなければなりません。

理系の場合は、医学部や工学部、理学部など、大学での学びがそのまま将来の専門職に直結することがあるため、学部や学科選びが、文系より重要になります。
特に医療系は、「大学への合格=将来の職業の決定」になりますよね。

一方で、文系はどうでしょうか?
法学部、経済学部、文学部、社会学部……。
一部の研究者を目指す場合を除き、
文系の学問は良い意味で「直接的な職業への専門性(縛り)」がありません。

例えば公務員の行政職になるために特定の学部を出ている必要は全くありません。
もっと言えば、司法試験(弁護士など)でさえ、現在の制度では学部に制限はなく、理系の学生であっても受験して合格している人が実際にいます。
僕の友達も、工学部から司法試験に合格しています(彼は、刑法は数学と同じと言ってました)。
つまり、世の中の大半の仕事は、大学で何を専攻したかに関わらず就くことができるのです。少なくとも、日本の社会はそうなっています。

だからこそ、高校生の段階で無理やり「将来やりたいこと」をひねり出し、
それに縛られて進路先(学部)を限定してしまうのは、
非常にもったいない選択だと言えます。

文系に関しては、「とりあえず行きたい大学(レベルや環境)で選ぶ」というアプローチが、実は最も理にかなった戦略なのです。

18歳の時点で一生の仕事を決めるなんて、そもそも無理があります。
「行きたい大学に入り、4年間様々な価値観に触れながら、自分に向いている道を探す」。文系においては、この「入ってから進路を決める」というスタンスが圧倒的に強い手になります。

「やりたいことがないから志望校が決まらない」と悩む高校生はたくさんいます。
しかし、文系であれば「今はまだやりたいことがない」で全く構いません。
無理に理想の将来像をでっち上げるのではなく、まずは目の前の勉強に集中し、
一番行きたいと思える大学を「総合的な魅力」で選ぶ。
その柔軟性こそが、文系の最大の特権なのです。

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